11の禅のこころ
ご紹介する11の“禅のこころ”の中で、大切なものの1つが「めざめ」です。
朝、気持ちよく目覚めることができれば、他の10個の“禅のこころ”も「気づき」やすくなります。
まずは、この「めざめ」の“禅のこころ”をためしてみてください。
禅のこころ01.めざめ
生きている限り誰にでも与えられるまっさらな一日。それは、誰にでも与えられるものですが、決して当たり前のことではありません。新しい一日を迎えたくても迎えることができない人もいます。
この美しい一日に目覚めた喜びを体全体で感じましょう。そのためには、これまでより10分でもいいので早く起床し(8時までに起きることが大切です)、太陽のエネルギーを受けるため、朝日をめいっぱい浴びます。凛とした朝の空気を感じ、鳥のさえずり、木の声、水の音に耳を傾けます。
そして優しく微笑み、そのめざめに感謝の気持ちを持って、あなたの新しい一日をスタートさせるのです。
このようにめざめて静かに感じることができれば、落ち着いた一日を過ごし、物事の感じ方や思い方、時間への取り組み、付き合いもかわってくるはずです。
まずはこの「めざめ」の“禅のこころ”をためしてみてください。
禅のこころ02.トイレをつかう
私たちはきれいなものを喜び迎え、汚れたきたないものを嫌いますね。でも、静かに澄んだ目で、ものごとを在るがままに見ていくと、きれいと汚いは一続きの現実とわかります。
トイレを使うことは仏壇に香をたくことと同じくらい神聖なものです。私たちがいのちを受け取るということは、生と死、得と損、喜びと悲しみ、そして汚濁と清浄の両方をひきうけるということです。
ティク・ナット・ハン師は仏教のこの考え方を「インタービーイング」(相即)と名づけました。「もしあなたが詩人なら、この一枚の紙の中に、雲が浮かんでいるのが見えるでしょう。雲がなければ雨はふりません。雨が降らなければ木は育ちません。木がなければ私たちは紙を作ることができません。紙が存在するためには、雲はなくてはならないものです。もし雲がなければ、この一枚の紙も存在できません。ですから、紙と雲は〈インタービー〉(相互共存)していると言うことができます」。
般若心経は、目に見えるものと真実の相の間に「仕切り」をつけないものの見方を、私たちに気づかせてくれます。おかげさまありがとう。
禅のこころ03.手を洗う
心地よい水が両手の間を流れます。きれいな水で手を洗えることは何とすばらしいことでしょう。
地球はその広大な大地に水を蓄え、私たちに与えてくれます。このいのちの水を大切にしたいものです。手を洗いながらあなたの手をじっと見つめてみてください。地球が泣いています。美しい森と海と空を、私たちのこの手でとり戻しましょう。
禅のこころ04.歯をみがく
あなたの口からやさしい愛に満ちた言葉(心)が香りますように。歯磨きの目的は、清潔でピカピカの白い歯、口臭のない口のためだけのものではありません。朝晩歯を磨いて、あなたの口から美しい言葉を香らせてください。
この“禅のこころ”はお釈迦様の最初の説法(初転法論)の一つ「正語」(正しい言葉)の練修です。不和や憎しみを生み出す言葉、他人を批判する言葉、はっきりと確信が持てない言葉などを慎み、自分の信念をはっきりと語る勇気を持ってみてください。この“禅のこころ”を口ずさみながら、真実で美しい言葉を磨きましょう。
禅のこころ05.あいさつく
私たちアジア人は美しいあいさつの伝統をもっています。両手でハス(蓮華)のつぼみをつくって(合掌)相手に捧げます。あなたのみずみずしい心を相手に伝えるポーズです。
あなたの前に立つ人に100%気づいて、心をこめて敬意を捧げ、その人が「仏陀=気づきの人・目覚めた人」であることを思い出してください。あなたの周りの動物や植物や鉱物にも、あなたのハスの花を捧げてみてください。もちろん、握手をするときにも。
禅のこころ06.皿を洗う
「気づき」の練修は、毎日の暮らしの中で実践できます。お皿を洗う目的は、お皿をきれいに洗浄するだけではありません。お皿を洗う目的は、お皿を洗うことそれ自体にあるのです。
ただ皿を洗うために皿を洗う!なんだか少し変ですか?お皿を洗うのが面倒くさく感じるのは、はやく皿を洗ってテレビを見たいからです。何かほかにやりたいことがあるから、一秒でも早く皿洗いを終わりたいのです。
こんな時間の使い方はずいぶんもったいないですね。この人生の一瞬一瞬が、私たちに与えられた奇跡なのです。
いつも先のことに心を引かれて、現在のこの時を無駄にしないで、お皿を洗うこの一瞬一瞬を、ブッダの心に目覚める練修として使ってみてはいかがでしょうか。お皿を洗うのは楽しいことですね。一つ一つの食器たちを、赤ちゃんブッダをお風呂に入れるように洗ってみましょう。あなたのいのちに目覚めるために。
禅のこころ07.お茶をのむ
岡倉天心が書いた『茶の本』は世界の古典として、日本人のこころを西洋に伝えました。茶の湯は、本来お茶の瞑想でした。お作法の指先まで、気づきがみなぎり、亭主は客を茶の心=禅の心でもてなします。主客が一体となって、一碗の茶に「出遭う」のです。
息を吸いながら「両手のなかのこの茶碗に」、息を吐きながら「気づきのこころが満ちています!」と唱えます。もう一度息を吸いながら「身も心も一つになって」、息を吐きながら「この今にいきる」、と呼吸を意識しながら練修してみてください。これが仏教的茶道です。
これに習って、普段食事をするときにも「気づきのこころ」を満たせましょう。簡単でいいのです。仕事しながら勉強しながら忙しい中で食事をとるより、休憩なのですからもっとリラックスして食事を楽しんでください。
食べる前に食べ物の色を楽しんだり、においをかいでみたり、口の中ではよく噛んでよく味わって、「これが私の栄養になるんだ」と思いながら食べるだけでもいいのです。今、自分の体を作る大切なものを食べていると意識しながら食事をとることで、もっともっと元気になれるはずです。
禅のこころ08.歩く瞑想
この地上で一番幸せな人のように歩いてください。一歩、一歩、大地をやさしく抱きしめるように。あなたの一歩が花のように咲きだします。
どこかへ到着するためではなく、この一歩が始めも終わりもない永遠の一歩であるように。歩みそのものの中に深く棲みこんでください。
この“禅のこころ”は、歩くことそのものが気づきという瞑想です。毎日私たちは歩き回っていますよね。あなたのココロも、枝から枝へと飛び回るお猿さんのようにせわしなく、千路に乱れます。足下の大地にしっかりと心をとどめて、今ここの一歩を楽しんでみてください。きっとあなたの歩みは、ブッダのように、花のように高貴な美しさに香ることでしょう。
禅のこころ09.電話をかける
仏教的電話のかけ方を紹介しましょう。私たちが電話の犠牲者にならないように。そして気づきの練修を進められるように。
電話のベルは、速くはやくとあなたをせきたてます。息を切らして飛んでいく代わりに、一回目のベルが鳴ったら、すぐにその場に立ち止まって呼吸に気づきます。
「息を吸いながら、私は体を静める」、「息を吐きながら、私は微笑む」と心の中で唱えてみてください。二回目のベルで、もう一度この“禅のこころ”を繰り返します。
今度はもっとリラックスして微笑むことができるでしょう。そして三回目のベルが鳴ったら、あなたの出る息と入る息を確かめながら、ゆっくりと歩いて電話のところに行きます。仏陀になったような気持ちで歩いて、受話器をとり、口元に笑みを浮かべて、話します。これを電話瞑想といいます。
電話の相手が誰であろうとも、あなたはその人と一緒に「理解と愛」「正語」の修練ができるのです。きっと電話料も減るでしょう。携帯電話でも同じ練修をしてみてください。
禅のこころ10.車の運転
もう一つ車の安全運転の方法を紹介します。息を吸いながら「車の運転を始める前に」、息を吐きながら「私は行き先をちゃんと知っている」と唱えます。
次に息を吸いながら「車と私は一つです」、息を吐きながら、「車が速く走れば私も速く行く」と唱えてから、車を発車させてください。信号で止められたり、渋滞に巻き込まれたら、そのたびに呼吸に戻って、微笑んでみてください。
信号はあなたが目的地に到着するのを遅らせる敵ではなく、あなたへの「気づきのベル」であり、菩薩のウインクです。
運転することそのものに戻るために、目的地や未来に飛んでいるあなたの心を現在の瞬間に、車を運転しているあなた自身に連れ戻してくれます。運転瞑想はあなたを不注意から来る事故やイライラ運転から救ってくれるでしょう。
禅のこころ11.明かりをつける
「気づき」のキーワードは意識的呼吸と微笑みです。毎日の生活の中で、このような呼吸と微笑みの練修をしてみてください。
お釈迦様もこの呼吸法=入出息呼吸法を実践されて悟りに入られました。(アーナーパーナ・サティ・スッタ、安般守意経)呼吸と微笑みと気づきは仏法(真理)への門です。お釈迦様自らが到着された宇宙(天と地と存在)の真理にいたるトレーニング法です。あなたの人生に真に出会い、慈悲のこころを学ぶ道具です。
また、「気づき」には呼吸と微笑みの他にもうひとつ、感謝を大切にしてほしいと思います。あなたは、いつも感謝の気持ちを持っていますか?
まずは、今、自分が存在することに・・・。感謝に気づけば気づくほど、あなたの毎日はぱっと新たな明かりがついたようにかわるでしょう。
忙しい毎日だけれど、「仕事があること」「勉強ができること」「家庭があること」それ自体に感謝の気持ちを持ちましょう。それがしたくてもできない人はこの世の中にたくさんいるのです。
また普段の生活では、ちょっとしたことでも、例えば何か物を取ってもらった、仕事を手伝ってもらった、作った料理をおいしいと言ってくれたなど、どんなことでもいつでも感謝する気持ちを持っていれば、あなたのまわりもそうまわっていくはずです。
まわりまわって自分のところへ・・・あなた自身が幸せな毎日を過ごす為に・・・あなたが気づくことはたくさんあります。








